いつもお昼ごはん買ってるのかな。

唯くん家、共働きだもんなぁ。


「唯くん、明日からお弁当作ってこよーか?」


私からスルッと出たその言葉に

口いっぱいにご飯を詰めてモグモグしていた唯くんが、かたまった。




「…」




あれ?

…あ、重い?

お弁当を毎日作ってくる彼女はさすがに重い!?




…モグモグモグモグ…




唯くんが私を見つめたまま再びモグモグを始めて、それをみんなで静かに見守る。




…ゴクン。










「…うん。」


コクッ、と小さく頷いた。









…ん、





「んぎゃわひぃ!!」


突然の萌えに耐えきれず両手で顔を押さえて後ろにのけぞった。



「なんだって?」


「多分『かわいい』」


「あーなるほど、表現が独特なタイプね。」



委員長が解説して仲山くんが変な納得の仕方をするのが聞こえた。




「…あ!優花ー」


ドアの外から私を呼ぶ男の子の声に、席に座ったまま振り返る。


「あ。りょっくん。」


りょっくん。

一年の時からのお友達。

お互い忘れっぽい性格なので、よく教科書の貸し借りをしてる。


「数学の教科書ある?貸してくんね?」


「いいよー。ほい!」


先程終わったばかりの教科書をりょっくんに手渡す。



「サン…」



りょっくんの手から教科書が消えた。