わたしは、いつもふわふわしたゆるい笑顔を見せる由利くんのことを甘く見ていた。
気まぐれで適当な由利くんの性格だったら、ふつうに話しかければヘラリと笑い返してくれるような気がしていたし、昨日のことだって謝れば簡単に許してもらえると思っていた。
だけど違った。
由利くんは、想像以上に怒ってる。本気で怒ってる。
それは、わたしに告白してくれた由利くんの気持ちが本気だったからで。
わたしが彼の本気を疑って、ないがしろにしたからだ。
「ごめんなさい……。わたし、そういうつもりじゃなくて……」
焦って謝ったけれど、由利くんはわたしから視線を逸らすと立ち上がった。
このままだと、由利くんに一生口もきいてもらえなくなりそうな気がして。
ふらりとどこかへ歩いていこうとする由利くんのカーディガンの袖を縋るようにつかまえた。
「なに?」
由利くんが、袖をつかむわたしの手をちらっと見て眉根を寄せる。



