告白されたのか、遊びに誘われているのかわからないけど、断ったのに粘られている……。そんな感じに見える。
由利くんに迫る彼女の横顔は真剣そのもので。体育館の陰から覗き見しているわたしは、ふたりに気付かれないように息を潜めた。
鈍感なフリをして声をかければ、一年生の彼女は由利くんから手を離すかもしれない。
だけど、なんとなく声をかけづらい。
それに、もし本当にわたしのことを好きだと思っているなら、彼女のことはきっぱりと突き放してほしい。
まだ付き合ってもないし、彼女でもなんでもないのに、由利くんに対して、そんな期待をしてしまった。
だから……。
「あたし、絶対に離しませんからね。由利先輩がライン交換してくれるまで」
「教えたら、解放してくれんの?」
由利くんがため息混じりに彼女にそう訊ねるのを聞いて、少しショックを受けた。
離してくれない彼女の対応が面倒になったのはわかる。わかるけど……。
わたしへの告白が本気だったのなら、他の子との繋がりは、早くきっぱり断ってほしい。



