「わたしは、眞部くんと意見が合って光栄だよ。眞部くん、頭いいし、しっかりしてるもん。てことで、いってらっしゃい。問題集はわたしが出してきてあげる」
笑いながら立ち上がると、由利くんが少し眉根を寄せて、不快げにわたしを見上げてきた。
「じゃぁ、また明日ね」
問題集を持って立ち去ろうとすると、由利くんがわたしのカーディガンの背中をぎゅっと引っ張ってくる。
ドキッとして振り向くと、由利くんが「ねぇ」と低い声で呼びかけてくる。
「何?」
「それ出し終わったら、校門のとこで待ってて」
「なんで?」
「シンキングタイムのタイムリミット」
由利くんの言葉に、心臓がギュッと縮まる。
あの告白は気まぐれかと思ってようやく心が落ち着いてきたところだったのに。
かなりの時間差で、少し意地悪な笑みを浮かべながらそんなことを言われて、縮まった心臓から一気に血液が流れ出していくような気がした。