「でも、北中出身ってだけで一学年上の男の先輩と仲良くなるもん? 中学のとき、部活でも一緒じゃない限り、他学年の異性の先輩と話すとかなかったけど」
「あぁ、うん。実はわたし、中学のときバスケ部入ってて」
「男バスのマネやってたとか?」
「マネージャーではなくて、女子のほうでふつうにプレイしてたよ。久我山先輩とは、そのときにちょっと顔見知りになったんだ。でも、会ったらちょっと挨拶するとかその程度」
「へぇ、そうだったんだ」
そういえば、眞部くんや由利くんとは璃美を通じて仲良くしてるけど、中学時代の自分の話はあまりしたことがないかもしれない。
わたしがバスケ部だったことを知った眞部くんは、少し意外そうな顔をしていた。
それもそのはず。高校に入ってからわたしは部活に入ってないし、体育以外で運動している素振りを見せたこともない。
「久我山先輩ね、中学のときに部活でケガしたつーちゃんのことを支えて保健室まで連れてってくれたことがあるんだって。それ以来、久我山先輩に憧れてるらしいよ。ね、つーちゃん」
敢えて久我山先輩との関係は曖昧に濁したのに。
ニヤケ顔でわたしの聞いていた璃美が、楽しそうにイジってくる。
「支えてくれたっていうか、たまたま近くにいて、保健室まで連れてってくれただけだから。それに、ふたりだけとかじゃなくて、女バスの同級生と三人だったし」
「でも、かっこいいなーって思ったって言ってたじゃん」
「まぁ、それは……」



