「ゆ、由利くん……!」

「んー?」

 キスを躱されてちょっと不機嫌になっていると、青葉がおれと重ねた手をきゅっと握りしめてきた。


「由利くんが次の授業出てくれたら、なんでも言うこと聞いてあげる」

「なんでも?」

 なんでもって。そんなおれに選択権を委ねれようなこと言っちゃっていいのかな。

 迂闊すぎじゃない? 

 青葉のひとことで、キスを躱されたことによる不機嫌は簡単に治った。

 ふふっと笑うと、青葉が真面目な顔でコクンと頷く。

 なんでも言うこと聞くって言われて、一瞬、邪な考えも浮かんだけど……。

 おれを見上げる青葉の目がとても真っ直ぐだったから、ヘンなことをお願いするのはやめにして、ちょっとだけ考える。

 あんまりヘンなことだと青葉に思われなくて、おれにとってもおいしいこと……。

 考えてたら、ピンと、ひとついいことが思い浮かんだ。