ゆるふわな君の好きなひと


 保健室の机では、大野先生が事務作業をしていた。

 突き指した経緯を伝えたら、先生が患部を冷やすために氷をくれる。

 しばらく冷やしたあと、先生がぐるぐるっと指を固定するようにテーピングしてくれた。


「そんなにひどくはなさそうだけど、もし痛みがひどくなったり腫れてきたら、ちゃんと病院に行ってね」

「はい」

「もう少し冷やしたら授業に戻ってもいいけど、無理して使わないほうがいいかもね」

 テーピングされた指を冷やしていると、大野先生が優しくそう言った。

 中学時代に本気で部活をやってたときは、突き指でテーピングを巻いてても、平気で練習に出てた。ちょっとくらい痛くても我慢して。

 でも、今は体育の授業だし。

 大野先生に無理するな、と言われるの、なんだか気が抜けてしまう。