「仲直りできそうにないの?」

「どうかな? 由利くん、すごい怒ってたし。たぶん無理かも……」

 そう答えながら無理して笑おうとする自分が、なんだか虚しくなってくる。


「でも、由利くんて、つーちゃんには相当気を許してたでしょ。ちゃんと話して、仲直りできない?」

「無理だよ。まず、会話ができないもん。由利くんが今までわたしに構ってくれたのは、わたしが璃美の友達だからだもん。由利くんの世話を焼いてくれる女の子は、わたし以外にもたくさんいるんだよ。しつこく連絡先聞こうとしてた一年の女子とか、岡崎さんとか」

「岡崎さんて、うちのクラスの?」

「そう。この前デートに誘われてたよ。由利くんは由利くんで楽しんでるみたいだから、璃美も眞部くんも、ほっといたらいいんじゃないかな」

「そっか……」

 わたしの話を聞いた璃美が、複雑そうな表情を浮かべる。

 無意識に他の女子に対して嫉妬めいたことを口にしてしまったわたしは、慌てて口を噤んだ。

 由利くんが誰と遊んでたって、誰と仲良くしてたって、わたしが口を出す権利はない。

 その権利を手に入れる前に放棄してしまったのは、わたしなんだから。