由利くんはもう二週間以上も部活をサボっていて、この頃は授業中に教室にいないことも多い。

 眞部くんの電話やラインにも気まぐれにしか応答がないらしく……。さすがの眞部くんも、本気で困っている。


「由利くんに部活に行くよう説得するっていう話だったら、わたしは協力できないよ。この頃、授業に出てないことも多いし、目も合わないもん。わたしたちも、早く練習しよ」

 璃美の持っている白いハンドボールを指差して促す。

 だけど璃美は、ボールを持ったまま動こうとしなかった。


「つーちゃん、もし由利くんと何かあったなら──……」
「ごめんね。璃美にも眞部くんにも心配かけて」

 説明すれば、璃美はちゃんと話を聞いてくれる。それはわかっていたけど、わたしは璃美の言葉を、ハハッと空笑いで遮った。

 話を聞いてもらったとしても、わたしと由利くんの関係が元通りになるわけじゃない。

 だけど……。


「三週間くらい前に、眞部くんに頼まれて、わたしが由利くんの居残りに付き合ったことあったでしょ。実はそのときに、由利くんを怒らせるようなこと言っちゃって……。それから、嫌われてるみたい」

 いちおう、由利くんと拗れている簡単な経緯だけは璃美に伝えた。