由利くんの手を離させるためにいろいろ画策しているうちに、またお腹が痛くなってくる。

 なんだか疲れてしまったわたしは、最後には諦めて、由利くんの眠るベッドに寝転んだ。

 なるべくベッドの端っこに寄って、由利くんと距離をとるようにして。

 そうしてぼんやりと寝転んでいるうちに、午前中の授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。

 昼休みが始まっても由利くんは一向に目を覚まさず……。

 保健室に様子を見に来てくれた璃美が、由利くんとふたりでベッドインしているわたしを見て悲鳴を上げた。


「なにしてるの、由利くん……! つーちゃんに変なことしてないでしょうね」

 璃美の叫び声でようやく目を覚ました由利くんは、隣に眠るわたしと璃美のことを見てしばらく考えたあと、ふにゃっと溶けそうな表情をして笑った。


「眠くてよく覚えてないけど。たぶん、何もしてないと思う」

 ぐっすりと眠った由利くんは、璃美の前でゆるゆる、ふわふわとした柔らかな笑顔を見せていた。

 突然やってきて、わたしが眠っているベッドを無表情で奪ったときの彼とは大違いだ。

 裏表のある人なのかな。

 そう思っていたら。