ベッドに寝転んでいても眠ることはできなくて。掛け布団の上から左胸を抑えながら、授業の終わりを知らせるチャイムが鳴るまで、わたしは保健室の天井を睨んでいた。


「青葉さん、具合どう?」

 チャイムが鳴り終わるのに合わせて、机で事務作業をしていた保健室の大野先生がわたしの様子を見にきてくれる。

 月一回くるやつが重めのわたしは、割と保健室常連で。二十代後半くらいの大野先生とは顔馴染みだ。


「だいぶよくなりました」

「そっか。私、ちょっと職員室に書類を持って行ってくるけど、大丈夫かな。もう少し休んでてもいいし、授業に戻れそうなら、いつもみたいに机の上の利用者カードに退出のサインをしといてくれる?」

「はい、わかりました」

 わたしが頷くと、大野先生は軽く微笑んで、保健室から出て行った。

 大野先生が行ってしまったあと、ベッドから身体を起こしてお腹に手をのせる。

 もう痛くないし、教室に戻ろうかな。由利くんの顔を見るのはキツいけど……。だからといって、ずっとここにいるわけにもいかない。

 ベッドサイドに両足を下ろすと、上履きを履く。