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保健室に行くと、三つ設置してある全てのベッドが空いていた。
「ゆっくり休むんだよ」
そう言って、教室に戻っていく咲良を見送ってから、等間隔に置かれているベッドの位置をひとつひとつ眺める。
日当たりと風通しがよくて寝心地がいいのは窓側のベッド。
だけど、窓側のベッドは避けて、保健室のドアに一番近い側のベッドを選んで寝転がった。
窓側のベッドに寝たら、由利くんのことを思い出して泣いてしまう気がしたから。
半分に折り畳まれている掛け布団を引っ張り上げて、頭までかぶると目を閉じる。
お腹の痛みは、教室を出たときよりもマシになっている。
でも、瞼を閉じると由利くんの冷たい眼差しが脳裏に浮かんで、今度は胸がキリキリとした。
『なんで、本気じゃないとか青葉が勝手に決めつけんの?』
静かな怒りを含む由利くんの声が聞こえてくるような気がする。



