「……」
「だから、日向って言って!」
えっと、そんなにハードルの高いこと……
やばい。名前呼ぶだけなのに心臓が飛び出してきそう。
ごくんと一回つばを飲み込む。
すって~はいて~すって~!!!
「…たくん」
「聞こえないな。夏希ちゃん」
めっちゃ意地悪な顔してる。この人……
しかも平然と私の名前を呼んだし……
こんなに私が苦労したのに……
ええい、こうなったら!
私のやけくそを見してあげるよ!
「日向君!」
「ん」
「日向君」
「ん」
「日向君」
「……夏希ちゃん、いつまでするの?」
「日向君」
「顔あっか」
「日向君」
「それ以上言うとかわいすぎて夏希ちゃんのことおそっちゃうよ?」
「ひなt ……どういうこと?」
「言葉の通りだよ」
「はっ」
いやいやいやいや、襲うってなに?
えっ、あんなことやこんなことをするってことでしょ。
やばいやばい。
カッカッカッカッカ
考えてるうちに自分の体温がどんどん上昇しているのがわかって、思わず顔を隠す。

