「いいじゃん。お昼休みは一緒に過ごそうよ。」
考える前に夏希の顔を見たら、自然と笑顔になってポンと言葉が口から飛び出してきた。
なにやってんだ、俺。
ここで夏希に嫌われたら終わりだっていうのに。
心配する俺をよそに夏希はぱっと顔を上げて言う。
「うん!」
だあ~ぁ。百面相からの全力の笑顔はかわいい。かわいすぎるって。
でれでれしそうになる自分に活を入れ、夏希に言う。
「ここじゃ、あれだし人の少ないところにいこ!」
「そうだね」
この選択は正しい。
夏希のことになると優柔不断になってしまうが、これは正しい選択だと確信できた。
なぜって?それは聞かなくてもわかるでしょうに。
さっきから夏希ファンの男子からの視線が熱いこと熱いこと。
そして俺には冷たいこと冷たいこと。
あー、この人たちに刺されて死んじゃうかも、俺。

