それから私たちは何も喋らずただ静かに海を見つめた。
私は心を落ち着かせながら、
藍はそんな私に寄り添うように、
ただただ海を見つめた。
私は、きっと、ずっと、誰かに話を聞いて欲しかった。
1人じゃ抱えきれないどうしようもない思いを、聞いて欲しかった。
寂しくて寂しくて仕方ない時、誰かに傍にいて欲しかった。
だけど今は、今は⋯。
藍、あなたの言葉が欲しいの。
藍に隣にいて欲しい。
我儘を言えば、他の誰でもなく藍からの言葉が欲しいの。
励ましでも慰めでも、他愛ない話でも、名前を呼んでくれるだけでもいいから。
ユラユラと海の真ん中を揺れる月明かりの道。
時折吹く潮風。
リラックス効果のある波音。
それらを五感で感じながら、今頃父と母はどうしているだろうと考えた。
寝ているだろうか。
それとも起きていて、何かを考えているのだろうか。
それは私のことなのだろうか。
今、2人は何よりも愛しい人と共に過ごしているのだろうか。
きっとそうなんだろうと思ったら寂しかった。
寂しかった。



