ふわっと香るのは藍の匂い。 体を包むのは藍の温もり。 「らん⋯?」 突然のことに戸惑いながらも、ぎゅっと強く抱き締める藍の名前を呼べば藍は私を抱き締めたまま、ポツリと呟いた。 「いいよ、亜芽。逃げても」 「え⋯」 「誰も知らない所に⋯父親の、母親の、影さえ追ってこないところへ」