「ねぇお父さん」
「どうした」
「その餃子、美味しい?」
「そうだな」
嘘。
一度手を止めて父は私にそう言ったけれど、きっとそれは嘘だ。嘘に決まっている。
だって母の料理が美味しいなら毎日ちゃんと帰って来て、母と私と3人で食卓を囲んで、「美味しい」と直接母に伝えるはずだ。
でも父は帰ってこない。母もどこかへ行ってしまう。一人ぼっちの夕御飯。
父も母も、馬鹿みたい。
子どもの前で取り繕って「美味しい」なんて嘘言って。
食べるかどうかも分からないのに2人分の餃子を手作りして。
2人とも、馬鹿みたいだ。



