午前2時の青春。【完】



母が玄関のドアを開けて出掛けて行ったのを確認してから風呂場へと行って上履きを取り出した。

ぬるま湯を用意しながら靴用の石鹸をブラシにつけて泥で茶色くなった部分をひたすら擦る。


するとこびりついた汚れがだんだんと取れていき、白い部分が多くなってきた。



それを見て更に力を込めてゴシゴシと擦っていく。

寒い冬の風呂場で。

誰もいない家で。

ゴシゴシと汚れを擦り落とす音だけが響く。




何分それをやっていたのだろう。
きっと時間にしたら10分とか15分程度のなんだろうけれど、力を込めて磨いていたからか寒かったはずなのにいつの間にか体は火照り、若干汗ばんですらいる。



「なにやってんの、私⋯」



自分で汚したわけではないのにこんなに必死にゴシゴシと擦って擦って擦って。

それに最初の方は落ちていた汚れもついに落ちなくなっていき、石鹸を足してもこれ以上は全然色が変わらない。



見事に薄茶色になった上履きはもう学校では使えないだろう。



「はぁー⋯、」



長く深いため息が、風呂場に響いた。