午前2時の青春。【完】





ちゃんとって言い方はおかしいのかもしれないけれど。と、思った時に私が手に持っているビニール袋に気がついた母はお玉を一度置いてから首を傾げた。



「なに?それ」

「上履き」

「上履き?」

「うん。ちょっとあまりにも汚くなっちゃったから洗おうかと思って」

「そうなの?」

「うん」



まさかクラスメイトに泥の中に放り込まれたなんて母に言えるはずもなく、適当に誤魔化した。



「夏休み明けに新しくしてなかったっけ?ちゃんと定期的に洗わないとダメだよ」

「今度から気をつけるね」

「洗っておこうか」


そう言った母に咄嗟に上履きの入ったビニール袋を背に隠す。


「ううん。大丈夫。自分で洗うから」

「そう?」

「うん」

「じゃあ、私はそろそろ出るから。夕飯はシチューだから温めて食べてね」



そう言いながらエプロンを外した母は時計を見て出る支度を始めた。


こんなにも堂々と娘の前で不倫相手のところに行く母親が居るだろうか。

そんなことを考えてしまう私はまだまだ心が子どもなんだろうか。



「いってきます」



着飾った母はとても綺麗なのに、その姿はどこか滑稽で恥ずかしく思えた。