「先生」
声を掛けた私を一度見て、ふいに視線を下に下げた教師は私の膝を見て目を大きくさせた。
「おい、どうしたそれ!?」
どうしたじゃない。教師ならわざと転ばされたことに気づけ。ちゃんと生徒全員が真面目に取り組んでるか見ていろ。
なんて、さっきまでは緩い先生でよかったーなんて思って適当にマラソンに取り組んでいた私が言うセリフじゃないかもしれないけど。
「転んじゃったんで保険室行ってきてもいいですか?」
「あ、あぁ。保険室行ってこい」
「ありがとうございます」
「1人で大丈夫か?もし無理ならだれか付き添い⋯えっとこのクラスの保健委員は⋯、」
「1人で大丈夫です」
記憶を巡らせる教師にそう告げて保険室へと向かう。
ダラリと垂れた血が、脛の辺りまで届いた。



