午前2時の青春。【完】





幸せ、そう言った母はきっと私がキスのことを聞いた時に父と不倫相手を比べていたのだろう。


あの時の母の言葉と表情を思い返せば考えるまでもなくわかってしまう。

母は不倫相手の男のことを本気で愛してしまっているのだと。




「お母さん⋯」


「もっと早くあの人に出逢っていたら⋯、」


結婚後に運命の人に出逢ってしまった、なんて愚かな事を抜かすのだろうか。


「ごめんね亜芽、ごめんなさい」


「⋯」


「私は誰に何を言われても、酷く批判されようと軽蔑されようと、社会的にいけない行為だとしても、あの人が好きなの」


「⋯っ」


「何を失っても全てが壊れても、ね」


「⋯最低だねお母さん。勝手すぎるよ⋯」


「ごめんね、亜芽」



すっと私の手に手を伸ばした母はそのまま優しく手を握るとぎゅっ、と一度だけ力を込めた後、ゆっくりとその手を離した。