午前2時の青春。【完】





驚きで立ち尽くす私に母は「ねぇ亜芽?」と言葉を続ける。



「あんたは失敗しちゃダメよ」


「は?失敗⋯?」


「その彼のこと好きじゃないって自分から気づけて良かったじゃない。だからもう失敗しちゃダメよ」


「は⋯、」


「亜芽はちゃんと幸せになりなさいね」


「何言ってんのお母さん。意味わかんないんだけど」



何を言っているの、と半笑いで問いかけた私に母は悲しそうに、寂しそうに目を細め笑う。



「私は見事に失敗しちゃったからね。永遠の愛を誓ったのに、このザマよ」


「⋯、」


「あの人、出張でしょ?でもきっと頭の中はあの女との旅行気分よ。部下に手を出すなんて最低よね?ねぇ?亜芽」




母が父の不倫に関して愚痴を零すなんて過去に一度しかなかった。

その一度で私は父の不倫を知ることになったのだけど。




「あーあ、どうしてあんな人と結婚してしまったんだろうねぇ⋯」



ポツリと呟いた母の顔は僅かに赤みを帯びていて、よく見ればワインボトルの中身は結構無くなっていた。

母は酔っているんだと、やっと気付いた。