「高校でトモキと仲良くなって、話してて楽しいって思ったよ。トモキから押されて付き合ったけど、私も好きだと思ったよ」
でも、それは所詮恋愛経験のなかった私が初めて身近に出来た男友達に恋の様な感情を錯覚で覚えてしまっただけで、トモキに愛があるかと問われればハッキリと頷くことは出来ない。
良いなと思うところは確かにあったはずなのに⋯⋯、それが好きなところになる前に恋をわかっていなかった私はトモキと付き合ってしまった。
それからは恋人という関係に慣れてきて素をさらけ出す様になって、合わない部分を認識しながらも何の経験も持たない私はトモキを好きなんだと思い込んでいた。
「でも私、トモキとキスしたりそれ以上のことしたりっていうのが想像出来ないよ」
「⋯⋯」
「トモキとそういうことするの嫌なの」
きっと私はトモキの心を抉っているだろう。
プライドも傷つけているだろう。
「トモキを好きじゃないって思ったら、何もかもが嫌なのっ⋯、息苦しくて息苦しくて堪らないのっ」
ガシャァァンッッッ───────、という耳を劈く様な大きな音が教室に響いた。
トモキが近くにあった机を思いっきり蹴り飛ばしたのだ。
あまりの衝撃に思わず身を縮こませた私を見てハッと短く笑ったトモキはその勢いのまま私の胸ぐらを掴んだ。
ギリギリと音がするんじゃないかってくらい強く締め上げるように掴まれた胸ぐらに、ヒュッと細く息を吸い込む。



