「籃」
「ん?」
「籃」
心地いい響に何度も名前を呼べば籃は笑って「あんたの名前は?」と私の目を見つめる。
それに「亜芽」と答えれば「アメ?」と籃は首を傾げた。
「うん。亜芽。変な名前でしょ?空から降る雨を連想させてジメジメしたイメージ」
昔から自分の名前が好きじゃなかった。
漢字こそ違うものの、ジメジメと陰湿なイメージを自分が感じてしまうからだ。
「あんまり自分の名前が好きじゃない?」
「っうん、好きではないかな」
「でも俺は、亜芽って名前好きだよ」
「え?」
「聞いた瞬間に好きになった」
籃の言葉にビックリして目を見開く。
「素敵な名前じゃん、亜芽」
「確かに聞くと雨をイメージするけど、俺雨も好きだし」
「何か全部綺麗に洗い流してくれるイメージだし、俺は亜芽って明るいイメージの方があるよ?」
「明るい⋯?」
「雨の日にしか見えない景色ってあるし、得々のあの匂いも好きだし、緑に雨が光るのも好き」
「っ」
「降った後の虹も、色とりどりの傘も好き」
「っ」
「亜芽って凄くいい名前じゃん」
ニッと笑った彼は無邪気で、とても眩しく見えた。



