彼は何も言わずにただずっと、私の肩に手を回して寄り添ってくれた。
その優しさが、温もりが、じんわりと心を温めて溶かしていき気が付けば自分から言葉を発していた。
「私の家って家庭崩壊してるんです⋯」
「⋯」
「両親どちらも不倫してて、母は父が帰ってくる前に相手の男の所に出掛けてしまうし、父は仕事だと嘘ついて会社の女と不倫してる」
「⋯」
「母は母で家の事を完璧にこなして夕飯だって父は食べないことの方が多いのに作って出掛けるし、父は自分の働いた給料を他の男の為に使う母に何も言わない。喧嘩すらしない」
「⋯」
「変ですよね⋯二人とも、おかしい⋯頭がおかしいっ」
ポロポロと流れる涙はゆっくりと頬を伝い落ちていく。



