彼は私をベンチに座らせた後、ココアを買ってきてくれて「温かいでしょ?」と微笑みながら私の頬にココアを当ててくれた。
冷えているからか、この前は熱いと思っていたココアも今は心地よい温かさで、またポロリと涙が零れる。
すると段々と体の一部が暖かくなってきたからか、寒いという感覚が戻ってきてブルっと体を震わせる。
「寒い?ってか寒いよね」
「少し⋯」
「じゃあこれ着て」
そう言って彼は着ていたダウンを脱いで私の肩に掛ける。
「あ、あなたが寒いでしょっ⋯」
「俺は大丈夫。この下にもまだ着てるから」
「っいい!返すっ⋯」
まだ着ているといってもその服は薄そうで、急いで返そうとすればダウンを持つ手を止められてしまった。
「着てて」
「で、でもっ⋯!」
「ん、じゃあこうしよう」
頑固な私に笑った彼はピタリと私に寄り添う様に隣に座り、ダウンを半分自分の肩に掛けた。
近い距離に、香水だろうか、甘い彼の香りがした。



