「だとしても、1000万はないよ」

「いますぐに用意しろとはいいません。病院は分割もききますから、定期的にある程度のお金を振り込んでもらえば結構です。そうですね、毎月30万ほどお願いしたいところです」

「大学生のぼくにそんな余裕ないんだよ」

「逮捕されてもいいんですか?」

「……」

「バイトをしてください。あなたくらいの年齢なら必死に働けば、それなりの額はもらえるはずです。逮捕されてしまえば、次に働く場所を見つけるのも困難になります。一生を棒に降りたくなかったら、わたしの言う通りにしてください」

わたしはあくまでも淡々と話していた。

大きな声を出して警察なんかが来られたら困る。

一方の加々美さんはちょっとずつ声が大きくなっている。

これは苛立っている証拠。

もう少しで計画はうまくいきそうだった。