「とぼけてもメリットはありませんよ。あなたのことはすでに調査済みですから」

「わからないよ、ぼくにはなんのことだか」

「いいんですか。この部屋に住んでいるのが一連の爆発事件の犯人です、そう叫んでも」

さらに、挑発するような笑みに変化させる。

「し、知らないよ、そんなこと」

「わたしは警察ではありません。単なる目撃者です。あなたが以前、郊外で爆弾をいじっているところを目撃して、そのあとをつけたことがあるんです」

「……」

加々美さんは逡巡するように、目をあちこちに動かしている。

どんなに追求されても否定するか、わたしがここに来た目的を知るべきか、悩んでいるようだった。