「それは、幼なじみとしてで」

「なわけないじゃん。よく考えてみてよ。橘くんがそこまでサッカーに熱中していたなら、幼なじみが体調悪いくらいじゃ中断したりしないでしょ。莉子のほうが重みがあったから、サッカーを手離すことができた。そうじゃないの?」

「……」

わたしは認めたくないだけなのかもしれない。

海斗くんがわたしのことを純粋に愛しているとなれば、わたしのなかの後悔も薄れていってしまう。

もしそれがなくなってしまえば、わたしはもう、生きる意味を見いだせなくなってしまうかもしれない。

海斗くんのために、これだけがいまの、いままでのわたしの生きる気力を支えてきたもの。

罪を償うためだけに、わたしは生きてきた。

その罪を自覚することで、わたしは海斗くんを救うために働くことができた。

いま、それを否定することなんてできない。