この国に巨大な隕石が落下するというニュースをはじめて聞いたとき、わたしは不思議なくらい自分の能力を意識することがなかった。

本当にもう死んでしまうんだ、と諦めの気持ちばかりが先行した。

その発表は数時間前のことだったので、頭のなかを整理することができなかった。

オロオロするわたしを、海斗くんは必死になだめてくれた。

わたしが落ち着きを取り戻したのは、隕石をその目に捉えたとき。

巨大な火の玉を目撃したとき、わたしは正直、感動を覚えてしまった。

恐怖は一瞬で消え、その美しさに見とれてしまった。

映画の一場面を見ているようで、現実感というものがまったくなかった。

場違いではあるけれど、携帯で動画を撮ろうとしてしまったほどだった。

最後の時を、わたしは海斗くんと過ごした。

衝撃に吹き飛ばされることがないよう、しっかりと抱き合いながら。