「塔子、こっち」
「そうね」
なっちゃんが当然のように疑問を口にすると
お父さんは、ご飯を準備していたお母さんを手招きして隣に座るよう促した。
家族全員がテーブルをはさんで向かい合うのは、いつもの見慣れた光景…なんだけど。
「杏花、七瀬。話がある」
「う、うん…」
改まった両親。真剣な空気。
それを感じ取ったのはなっちゃんも同じで、いろんなことを考えたのか彼の目は泳ぎまくっていた。
「なあに七瀬?あんた心当たりあるの?」
「……塔子ちゃんのプリン勝手に食べたこと?あ、塔子ちゃんの化粧水こぼしちゃったから水いれてごまかしたこと?それとも…」
「っ全部知らないんだけどあたし!」
「まぁまぁ塔子も七瀬も、コントはそれくらいにして」
「「コントじゃないわ!!!」」
お母さんとなっちゃんの姉弟みたいなやり取りも、お父さんのちょっぴりズレたまとめも、本当にいつもと変わらない。
だから明るい話なんだと思いたいけど、どうなんだろう…。
「うちに仙名千歳くんが住みます」