「あたし呼んでくるわ」
そしてすぐ、何かあったら怖いから、と
お母さんは少し心配そうに階段を上っていった。
「そもそもゆーやさん、なんで急に二階の片付けしてんの?」
「それはわたしも分かんない…」
「おれさっき超大変だったよ、軽く筋肉痛だもんねっ」
「………」
「…うそだけど」
「うそかい」
残されたなっちゃんとふたり、揃って頭にはてなマークが浮かぶ。
ちなみになっちゃんの言う「ゆーやさん」は、お父さんのことだ。…彼なりの尊敬なのか何なのか、お父さんのことはさん付けで呼んでいる。
二階はわたしの部屋となっちゃんの部屋のほかに、もうひとつ物置として使っている部屋がある。
お父さんの趣味で扱っているバイク用の工具や、なっちゃんのスノーボード用品、わたしとお母さんの旅行用のものとか…毎日は使わないものをみんなそれぞれ置いていた。
でもさっき、急にお父さんから「この部屋を空き部屋にしたいんだ」と言われて
何も分からないまま、自分のものを屋根裏部屋に移動したのだ。