心がじわりじわりと冷えていくような

このつめたい感覚に対して、何度見て見ぬふりをしただろう。


瑠璃ちゃんは何か言いたそうだったけれど、そっと首を振ると小さくうなずいた。

今度こそ納得してくれたようだ。綺麗なお顔立ちの眉が、寂しそうに下がってしまったのが申し訳なかった。



(…校庭、まだ賑やかだな)



いまだに喧騒の止まない外。

なっちゃんたちがまだいるのかもしれないとの思いから、吸い込まれるように窓の下を見る。



「……。え、」



なっちゃんも怜央くんも、悠飛くんももういなかった…けれど



「ねぇ千歳くん、こっち見てるよね!?どうしよう!」

「ずっと見たまま動かないね?千歳くんと目が合うとかヤバくない!?」



――…“彼”がずっと、こちらを見つめていた。

真っ直ぐな目で、周りにいくら声をかけられても一切応じることなく。



(…千歳くん…?)



「なにチトセ、直立不動ごっこ?おれもやるー!」

「アホふたり、置いてくぞ」

「はーん!少なくともおれは怜央さんよりはアホじゃないと――…」



だんだんと消えていく彼らの声は、校舎内に入っていったことを意味していた。