稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

 本来母親から教えられるべきことを、私が教えてもらえないというのを心苦しく思っているのは知っていたけれど。
「お父様、そう言うことではありません。舞踏会では、私は公爵令嬢だという身分を伏せております。ですから、招こうと思うと公爵令嬢だということを伝えないといけないので……」
「そうだった。そうだったな。だが、友達にならば公爵令嬢だと伝えてもいいんじゃないのか?お前が選んだ友達であれば、悪い人ではないんだろう?誰だい?」
 誰って。
「ロ、ローレル様とか……」
 友達になりたいけど、友達になったとまで親しくはなってないのに、思わず名前を上げてしまった。
「ああ、辺境伯の次女のローレル嬢か」
「お父様、ご存知なのですか?」
「ああ、実はロバートの婚約者候補にと名前があがっていたんだ」
 え?お兄様の婚約者候補だったんだ!
 もし、お兄様と結婚したら、お姉様になってたの!
「なぜ、ローレル様は候補から外れたのですか?」
 お兄様がエカテリーゼ様じゃないといやだと言ったのかしら?
 どうして。
「断られた」
 ええええ!断られた!お兄様じゃいやだって言われたってことですよね。
 ……仕方がない、かしら?

「辺境伯婦人がな、王都の舞踏会で田舎者だと馬鹿にされる事件が起きてな」
「え?田舎者?どうしてそんな話が?辺境伯の領地といえば第二の王都と言われるほど発展していると聞いておりますけれど。むしろ、王都の周りの領地のほうがよほど田舎では?」
 首をかしげるとお父様が苦笑いする。
「辺境にあるから田舎だと勘違いしておる者もいないではないんだ」