稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

 ……よく考えたら、エミリーなら私がトーマルク公爵令嬢だと知っても突然距離を置くようなことも、態度を変えるようなこともないような気がする。だったら、教えても構わないんじゃないかな。
 ……とはいえ、男性アレルギーのこと、お父様もお兄様も必死に隠してくださっているのに、私が勝手に教えるのはどうなんだろう。
 公爵令嬢は男性アレルギー……。一応お父様に、男性アレルギーのことを知られてしまった方がいて信用できる人なので公爵令嬢だって教えても構いませんかと尋ねてからの方がいいかしら。
「リリー、そんなに難しい顔をしないで。大丈夫よ、私が何とかするわ。きっと、ロイホール公爵家の舞踏会以外でも会えるように考えるから……ね?いつもの可愛い顔に戻ってちょうだい」

 太陽が陰る頃に、二人の秘密のお茶会は終わった。
「どうだったかい?無理はしていないかい?沈んだ顔をしているが……やはり辛いならやめてもいいんだよ?」
 屋敷に戻ると、心配そうに玄関までお父様が迎えに出ていた。
「ええ、大丈夫です。酷いアレルギーも……ディック様のときに出たきりで……」
 お父様がうーんとうなった。
「ディックか。好青年だと思っていたし、ロバートとも仲がいいからいい縁談になるかもと思っていたが……そうか。酷いアレルギーが出るんじゃ、無理だな」
 お父様の言葉に、ふっとおかしくなる。
 誰でもいいといいながら、誰だったらいいなぁと思っているってことですよね。本当は、色々な人に合わせてみたいと思っているのかもしれない。
 お父様は、私に結婚して幸せになってもらいたいんだろうな。
 私は、結婚したいと思ったことがないから、結婚が幸せにつながるとは思えないんだけれど……。
 エミリーと初めて会った時、エミリーにお願いしようとしたことがあるのを思い出した。
 言いそびれて、そのまま別の話になってしまったけれど。