稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

 さすがにエミリーと会いたいからっていう私情だけで、王宮で開かれる舞踏会の招待客に口出しをお願いするなんて……ねぇ?
 いっそ、ロイホール公爵家でばかり華やかに舞踏会を催しているのも何だからと、うちトーマルク公爵家でも同様の舞踏会を催すようにしてもらえばどうかしら。
 ……女主人はいないけれど、エカテリーゼ様に代理としてお願いしたら取り仕切ってくれるんじゃないかしら?舞踏会とか好きそうですし。
 お兄様と結婚して公爵夫人になれば、当然女主人として行う仕事ですし。その予行練習も兼ねて、若い子息令嬢を集めた簡易的な舞踏会をということなら……。
「別の舞踏会で会うのはどうかしら?」
「別の?それは、ちょっと難しいかもしれないわ……私が出席するとなると……」
 ん?あまり頻繁に舞踏会に出席できるような立場じゃないのかしらエミリーは。
 仕事とか忙しいのかもしれない。私が会いたいからと無理を言ってしまったことを反省する。
「ほ、ほら、よく考えてリリー、ロイホール公爵家にはこうして私たちがこっそり会えるあづまやが合ったけれど、こんな都合のよい場所なんてどこにでもあるものじゃないのよ?
「あ、そう言われればそうね。庭に迷路があるお屋敷は普通じゃないのね」
 うちにもあるから、特別なものだという感覚がなかった。
「そうよ、ここ意外では、王宮とトーマルク公爵家くらいかしら?」
 ドキリ。私の家の名前が出て思わず身を固くする。

「トーマルク公爵家では、公爵夫人がお亡くなりになってからは舞踏会を開いていないし……あとは王都ではなく、それぞれの領地の本邸にはあるのかもしれないけれど……さすがに、王都を離れてわざわざ出席することもねぇ……できないわよねぇ」
「そ、そうよね……」
 ほっ。すぐにトーマルク公爵家の話ではなくなりほっとする。