稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

 貴族の子息令嬢のお見合いの場という名目で開かれているロイホール公爵夫人の主催する舞踏会。
 ロイホール公爵夫人に何かあれば……気持ちが変わってしまえば、いつ開催されなくても不思議はない。
 ああ、でも裏の目的は、なかなか婚約しない皇太子殿下のお見合いのためだと言われている。
 とすると、王妃様や王室も関わっているのかもしれない。
 だとすれば皇太子殿下に婚約者ができるまでは、別の誰かが主催して続けられるかもしれない。でも、決まってしまえば……。
「あーあ、皇太子殿下にずっと婚約しなきゃいいのに」
「え?な、何?いきなり、こ、皇太子……で、殿下が、何?なんで?あの、何でそんなこと?」
 エミリーがとても驚いたようで、口に入れかけていたサンドイッチを手から取り落としかけている。
「あ、不敬?そ、そうよね。ああ。これも内緒ね。内緒。こんなこと言っていたの、内緒ね。そうよね。王家の血が絶えるとかそんな問題にも発展する話ね。あああ、でも、でも」
 エミリーが花の紅茶をこくりと一口飲んで気持ちを落ち着かせたようだ。
「ああ、そう、ええ、内緒よ、うん、もちろん、私のことじゃないわね、ええ、あ、違う、その、内緒」
「私のことじゃない?もちろんエミリーのことも内緒にするよわ?驚いてサンドイッチ落としかけたこととか」
「もうっ、リリーったら、意地悪さんっ。で、えっと、何?どうしていきなり皇太子殿下が婚約しなきゃいいなんて……」
 一応、不敬にあたるといけないので、二人きりとはいえ、若干声を落として話をする。