稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

 そうえば、私も、可愛くてたまらない熊のぬいぐるみをもらった時は、ぎゅーっと思い切り抱きしめて、チュってしてたことを思い出す。
 あら、そう考えれば、うろたえて泣きそうになりながら体を抱きしめているエミリーの可愛い姿を見ていたら……。
「リリー、ごめんなさい、嫌いにならないでね?もう、二度としない……ように気を付けるわ。本当よ、だから、その、お友達でいてほしいの……」
 なんだか、無性に、ぎゅっとしたくなってきた。

「ビックリしたけど、嫌いにならないし、エミリーは本当に可愛い。ああ、可愛くて思わずぎゅーってしたくなっちゃったの。これで、おあいこね!」
 両手をのばしてエミリーの頭をぎゅーっと抱きしめた。
「かわいい、エミリー、かわいい」
 柔らかいエミリーの髪に頬をすりすり。手でなでなで。
「ああ、そうか……エミリーはもしかしてこうして、熊やうさぎのぬいぐるみを抱きしめて眠ったこともないのね……」
 かわいいだけじゃなくて、あの何とも言えない落ち着きをもたらしてくれるあの感じを……。
「リ、リリー……あ、あの……」
 なでなでしているとエミリーの耳が真っ赤になっているのが見えた。
「どうしたの?」
 あんまりなでなでしすぎて、子供扱いされたみたいでいやになったのかな……恥ずかしくなってきた?
 ぱっとエミリーから手を離すと、エミリーは弾かれたように後ろに体を逸らして、両手で顔を覆ってしまった。
「もう、リリーの馬鹿ッ!」
「……え?私、馬鹿なの?」
「そうよぉっ!馬鹿馬鹿!もうっ!む、む、胸が、当たってたわよっ!わ、私、いくら可愛く見えたって、男なんだからっ、気をつけなさいよっ!」
「やだ、エミリーったら、女なんだもの、平気よ。男に見えるだけで、女でしょ?恥ずかしがることなんて……」