稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

 エミリーの顔が輝いた。
 私が何度も想像の中で見ていた、飛び切りの笑顔だ。
「きゃーっ。うれしい!私のこと、いっぱい思い出してくれたの?感激だわ!わ、私も、リリーのこと毎日毎日考えてたの!」
 エミリーの言葉に、私も胸がいっぱいになる。
「本当?私のこと毎日考えてくれたなんて……私だけが、エミリーに会いたくて仕方がないわけじゃなくてよかった」
 1回少し話をしただけ、そして、また会おうと簡単に約束しただけ、それなのに、こんなに会えることを楽しみにするなんておかしいのかなって。私だけがそう思っていたら寂しいなって思ったから。
 エミリーも私に会いたいってずっと思ってくれたんだと思ったら……。
「嬉しい、エミリー」
「ああ、リリー、なんてかわいい顔をするのかしら。貴方は私を可愛いって言ってくれるけれど、リリーの可愛さには到底及ばないわ……本当にかわいい。どうしよう……ねぇ、リリー、頬にふれてもいいかしら?」
 エミリーがトロンとした目つきで私を見る。
 理想の可愛さと言っていたけれど、エミリーには私はどう見えているのだろう。こんな風に生まれたかった……と、そういう気持ちを持って私を見ている?
「いいわよ。私も、エミリーの髪に触れてもいい?」
 日の光でキラキラして柔らかそうなオレンジ色のエミリーの髪。
「ええ、髪と言わずに、リリーになら、どこを触られてもいいわ」
 エミリーの手が、私の頬に触れる。

 私の手が、エミリーの髪に触れる。
「柔らかいのね……」
 エミリーがため息のような声を漏らす。
「エミリーの髪も柔らかいわ」
 ふふっと笑って答えた。
 もしかすると、エミリーは体も女性になりたいと思っているかもしれない。