稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

「あの日、実は会場でも貴方を見かけていたの。とても目立っていましたから」
 悪目立ちですね。
「周りの人に色々言われているのはすぐに分かったわ」
 チラチラ見ながらクスクス笑って扇で口元をかくしていれば、そりゃ良からぬことを言っていると、聞いていなくてもバレバレですよね。
「だけれど、貴方は、恥じ入って下を向くようなことはなく、自分のドレス姿に満足げに笑っていたのよ」
 ああ、確かに。言われて流行のものじゃないと分かったけれど、フワフワ可愛いのは嫌いじゃないんだよねと思って笑ったような気がする。
「そして、あのあづまやで、好きなドレスを着てはダメなのかと貴方に言われて、一瞬であなたのことが好きになりましたの」
 え?ローレル様が、私のことを好き?
 思わぬ言葉に、顔が赤くなる。
 学園に通わなかった私にとって、お友達は憧れの存在だ。
 これは、お友達ゲットのチャンス?そうなの?
「色々と貴族社会はめんどくさいしきたりがあって、こういう時は本当に嫌になるけれど……」
 ローレル様の言葉に、ハッとなる。

 そういえばローレル様は何家の方だったのか、確認するのを忘れていた。
 私を男爵家だと思っているなら、伯爵家や侯爵家の方なら友達という立場になるのは難しいと思っているだろう。
 公爵令嬢だと知られたら逆に、恐縮して距離を置かれてしまうだろうか?
「あなた、お名前は?
「リリーです」
「リリー、花の名前ね。だから、貴方はそんなに愛らしいのね」
 愛らしい……。その言葉に頬が暑くなる。
 ローレル様、私、家族以外に褒められることが慣れてなくて心の準備なく唐突に褒められると、嬉しいやら恥ずかしいやら。
「ろ、ローレル様も、アルストロメリアオニックスのように、素敵ですっ!」
 慌てて思い浮かんだ花の名前を口にする。