稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

 あれ?これって……この、空前のオレンジ色ブームって、このコサージュの売り込みに最高のチャンスなんじゃない?
「実は、仕立屋に教えていただいたんです」
 と、ドレスに縫い付けたコサージュでは見せにくいので、エミリーに上げる予定のものをポケットから取り出す。男性用だけれど構わないだろう。
「見てください、これ、ブーケ・ド・コサージュって言うんですけれど」
 ローレル様が手のひらの半分くらいのサイズの男性用コサージュを手に取る。
「裏にピンがついていますでしょう?それも、その仕立屋さんが開発した安全な物なのですが」
「ああ、ブローチみたいに服に止められるようになっているのね?」
 ローレル様がピンと聞いてすぐに用途を思いついたようだ。
「ええ、実はこの花の形をした飾り、取り外しが簡単にできるんです」
「まぁ!本当に?では、もしかして……」
 取り外しが簡単と聞いて、またもやローレル様はすぐに気が付いたようだ。
「もしかして、外すとイメージの違うドレスになると言うこと?そうなんですね?」
 ローレル様の言葉に頷くと、後ろの二人も興味深げに、顔をのぞかせる。
「ええ、実は、すでにこのブーケ・ド・コサージュの他にも、リボンを中心に花をあしらったものだとか、一つの花のものだとか、レースをふんだんに使っているものだとかいくつかありますの。次回は、それに付け替えて舞踏会に出ようとおもっているんですわ」
 後ろの一人がちょっと貴族令嬢としてははしたないくらいの大きな声を出した。

「どこの仕立屋ですの?」
 え?
「教えていただけませんか?」
 もう一人もローレル様の後ろから出て、私の前に迫って来た。
 どうしよう。仕立屋の名前を出してもいいのかな。
 宣伝になるから出すべきなんだろう。とてもよくしてくださってるから宣伝したい。でも、公爵令嬢リリーシャンヌということは知られたくない。