稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

 あれは、お兄様がプレゼントしたものね。早速使っているんだ。

 何度か、コサージュに手を伸ばして視線を向けたりして、女性たちと話をしている。
 もしかすると、お兄様に贈っていただいたんですわとか、のろけているのだろうか。
 あ、せっかくだったら、お兄様に小さな男性用のコサージュをプレゼントすればよかったわ。そうしたら、婚約者と対で使うということが早く広まったかも。
 エカテリーゼ様が、顔を上げた瞬間、会場の入り口付近に立っていた私を見た。
 ちょっとキツイ目を向けると、すぐに目の前の女性たちに視線を戻して談笑を続ける。
 えーっと、公爵令嬢だと知られたくないので、知らん顔してくださるのは助かりますが、何か怒らせました?
 まさか……。お兄様のエスコートを断ったことが逆に怒らせる原因じゃないですよね?
「私を心の狭い人間だと思っているの?失礼しちゃうわ」とか思われていたりして?「将来の妹のためですもの、寂しくても我慢しますのに」とか思っています?とにかく、何か誤解があるのなら、そのうちちゃんと解きたい。男性アレルギーのことを黙っていたままではなかなか難しい部分もあるけれど。
「素敵ね。見違えたわ」
 突然声をかけられ、視線を向けると鮮やかな濃い青のドレス姿のローレル様がいた。
 後ろに立つぽちゃっとした二人は相変わらずオレンジ色のドレスだ。
「ローレル様こそ素敵ですわ!すらりと背が高くて、細身で引き締まった青いドレスがとてもよくお似合いです」
 細いけれど胸は大きいというとても素晴らしいスタイルをしている。
 こげ茶色の髪と眉、はっきりした顔立ちに、はっきりした色のドレスは本当によく似合っている。オレンジ色のドレスを着ていたときも魅力的だったけれど、その何倍もローレル様の美しさが際立つ。