稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

 お父様が満足そうな顔をしてデザイナーと握手している。
「もちろんですよ。今までは舞踏会に顔を出す機会もなく、ファッションリーダーとなれなかっただけで」
 ……いいえ、お父様、昨日の舞踏会ではファッションリーダーになれるような感じはみじんもありませんでしたけど……。
 それに、目立ちたくないと言いましたよね?

 わずか3日後に仕立屋から連絡があった。
「ドレスのはまだですが、先にお見せしようと思いまして」
 と、布で作った花束のような飾りと、フリルがたっぷり使ってある飾りと、大きなリボンを用いた飾りなど、ブーケ・ド・コサージュをいくつも持って来た。
「まぁ、どれも素敵ね!」
「ありがとうございます!それから、こちらをご覧ください。
 コサージュを裏返して、金属の部品を見せる。
「これは、ブローチとマチ針を改造して作った、安全に止められる針です」
 と教えられたのはなるほど。ブローチのように針で布に固定できるけれど、マチ針の頭のように針の部分が丸出しにならないような工夫がされているのか。これならば、すぐにつけはずしができるのね。
「ねぇ、大きな飾りも素敵ですが、小さなものもセットにできないかしら?」
 デザイナーが大きく頷いた。

「ええ、もちろんです。大きなものと小さなものを組み合わせて好きな位置に配置して楽しむこともできます!」
 どんっと胸を張った。
「いえ、その、そうじゃなくて……男性が付けられるような」
 と、思わず口にしてしまう。
 エミリーのことが頭に浮かんだのは間違いない。だって、かわいいものを身に着けることが流行すればエミリーだって両親に不審がられずただの流行として身につけられるんじゃないかと……。
「まあ、素敵なアイデアですわね!」
 デザイナーの顔がぱぁっと輝いた。