稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

「いいえ、とんでもない。実はせっかく布で花を作れるようになっても、実際どれほど活用できるのかと思っていたところなのよ。それに、きっとこの付け替えが簡単にできる飾りはたくさん売れるはずです。ドレス1着売るよりも、飾りを100個売る方が簡単なはず。20~30個でドレス1着分ほどと同じになるように価格設定すればドレスの売り上げが落ちても十分儲かると思うわ」
 随分興奮しているのか、言葉遣いが敬語が入ったり落ちたりと乱れている。

「私たちデザインをする人間は、色々とデザインを考えますが、実際形になるものはほんの少しなのです。ですが、ベースのドレスに、色々付け替えて楽しむことができるのであれば、たくさんのデザインを形にすることができます……はぁー、なんて素敵なことでしょう」
 そうか。
 デザイン画の横に書かれた飾りを見る。次々とアイデアが生み出されていく。ドレスだけならば、この素敵なデザインの一つしかドレスにならないのか。確かにもったいない。
「胸元を飾る花束……ブーケ・ド・コサージュ」
 ふと思いついた外国の言葉を口にする。
「まぁ、まぁ、素敵ですわ。流石リリーシャンヌ様です。ブーケ・ド・コサージュ!ドレスを傷めないよう、数か所を糸で縫いとめるだけで付けられるように工夫をしましょう。ボタンやマチ針のようなもので糸がなくても付け替えができればなおいいのですが……ああ、腕がなりますわ。ちょうどいいことに、今は空前のオレンジ色のドレスブームですもの。ブーケ・ド・コサージュもオレンジ色に合うものをたくさん作れば売れ残ることもないでしょう……ありがとうございますリリーシャンヌ様。ああ、本当に、感謝いたします。流石ですわ。ファッションリーダーと言われていたお母様に負けず劣らず、ファッションリーダーとして今後の社交界を引っ張っていくこと間違いないでしょう!」