稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

「そうですね、鎖骨が出る程度で」
 胸は出さない。
 デザイナーがイラストを描いてみせてくれた。
「あ……」
 フリルを採ってしまい、胸の開きも少ないデザインだと、流石にこう、シンプル過ぎるというか、寂しすぎるというか、この上にエプロンつけたら使用人みたいに見えないこともないという野暮ったさが……。
 思わず苦笑いしてしまう。
「刺繍をいたしましょうか?それともレースで飾りましょうか?」
 飾る?
「リボンだ、リボンが似合うと思う!」
 お父様は黙っていて。
 でも、リボン……それなら取り外してエミリーにプレゼントできるかも。
 デザイナーさんはリボンの提案にはちょっと苦笑いをしているけれど。……たしかに、フリルを取り外して子供っぽさを脱却したとうのに、リボンをつけて子供っぽくなってしまったら意味はない。
 でも、刺繍やレースは取り外せないし。リボンなら、髪や手袋にも付けたいから同じものを用意してと言いやすいし。
「布で作った花はどうでしょうか」
 デザイナーさんがリボンをと頼もうとしたところ、別の提案をしてきた。
「布で作った花?」
 刺繍でもレースでもなく、布で花を?
 振り返ると、おつきのお針子さんが鞄の中から見本よりも少し大きなハンカチくらいの大きさの布を持って来た。
 それをテーブルの上に置き、中心をちょんっとつまんでくるくると回す。

「ほら、どうでしょう。薔薇に見えませんか?」
 驚くことに、ただの布切れ一枚だったのに、あっという間に薔薇の花のようになった。
「素敵ね、かわいいわ!」
「ありがとうございます。こうして作った花で胸元を飾ってはいかがでしょうか?」
 とても素敵。
 まさな布で花が作れるなんて。
「色々な布で大小さまざまな花を作って飾ったらかわいいでしょうね……」
 エミリーにも見せたいし、教えてあげたい。