稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

 公爵令嬢だと分かっていて私を褒めてくれる人がいたとしても、ご機嫌とりなのか、ゴマすりなのか、本心として素直に受け取ることはできないと思う。
「ああ、そうだな。そうだ、リリーの言う通り。リリーを利用してのし上がろうとする男など、認めん!私のかわいい娘を利用するようなやつは」
 お父様が鬼のような形相を見せる。
「せっかくお父様が、どのような方でも構わないと言ってくださったので、公爵令嬢ということは隠して舞踏会では過ごそうと思うのです」
「うん、そうだな、ハイエナみたいなやつが私の天使を汚すなど想像もしたくない」

「というわけで、オレンジ色のドレスが必要なのです。目立たないためには、皆と同じようなドレスにした方がいいのです」
「なるほど。分かった。皇太子目的じゃないことも分かった。だが、心配だな。皆と同じようなドレスを着てしまえば、リリーの美しさが際立ってしまうのではないか?それはそれで目立って美しさのとりこになったハイエナどもが……」
 ……お父様の声は聞こえないことにして、ちょっと身の置き所を無くしている仕立屋さんに話かける。
「オレンジ色で、薄いフワフワした天蓋に用いるような布はありませんか?」
 仕立屋さんはデザイナー兼責任者の一人と、おつきのお針子さんが3名で来ている。もちろん全員女性だ。
 おつきの人が、大きな革製の鞄を開いて、オレンジ色の別の布見本の束を出した。
 オレンジ色の布だけでどれだけ種類があるのか……。流行だからなの?そんなにみんな皇太子に見初められたいの?
 出してもらった布を見ながら、大まかなデザインの打ち合わせをデザイナーと進めて行く。
 上半身はシンプルに。ひざ下あたりからは、フワフワフリフリと可愛らしく。
「胸元はどれくらい開け……」
 デザイナーの言葉が途中で止まる。
 あ、背中から冷気。お父様のNGが出たようですね。