稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

 それは聞いたことがある。この先も安泰安泰と、お父様が皇太子殿下を褒めていた。
「問題があるどころか、皇太子の地位を無くすには惜しい才覚を持っている。だからこそ陛下も第二王子にという皇太子の言葉を突っぱねてはいる。だが、一方で、この先どうなるか分からないと思っておいでのようで……」
 なぜ皇太子は弟に王位を継いでもらいたいんだろう。
 人の上に立ちたくないとか?
 そういえば恋愛小説なんかだと、皇太子の立場の王子がその重責に苦悩して、ヒロインの言葉に救われ恋に落ちるとかありましたね。
 重責に苦悩してる?逃げ出したいと思っている?でも、すでにいくつも成果を残しているのに?逆に成果を残して期待されすぎて嫌になった?
「だからな、もし、将来王妃になると覚悟して婚約し、長く王妃教育も受けてもらったのに、皇太子が位を弟に譲ってしまったりしたら、迷惑をかけるだろうとリリーへの打診はやめたそうだ」
 なるほど。

「皇太子が王位を継ぐ決意をしてくれるか、もしくは第二王子の成長を待ち皇太子の地位を譲るしなければま皇太子は婚約者を持たないのではないかと思うんだ……」
 そんな事情があったんですね。20歳にもなって婚約者もいないのには……。そうか。王妃になるつもりで婚約したのに!って上位貴族の娘だといろいろ禍根を残しそうです。かといって、事情を説明しないまま下位貴族に話を持って行けば、何かあるのではないかと色々探られますよね。
 ならば、王位を継ぐのかやめるのかはっきりしてから婚約した方が問題はなさそうです。
「あるいは、心から愛しあえる相手に出会えば、婚約するかもしれない」
 だからお見合い目的の舞踏会に顔を出しているんですね。
「陛下も、どうやら愛する人ができればやる気が出るのではと期待している面もあるみたいだ」