稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

 ……そうよね、舞踏会に行きたい理由は、婚約者探しだって思いますよね。というか、違うと知られたら行かせてもらえないなんてことはないですよね?友達に会いたいからなんて……言えば「じゃあ家に招けばいい」とか言われても……。エミリオ……を家に招くことはできない。
 姿が男性だから。
 エミリーと話せば女性だと理解してもらえるかもしれないけれど、エミリーは隠しているわけだし。だから、やっぱり舞踏会でこっそり会うしかない。
 だから私は、舞踏会で婚約者探しをしていると思われてなくちゃならないのよね。というか、ちゃんとそっちも少しだけ頑張る?
 1回につき一人か二人、アレルギーの出方をチェックするくらいはした方がいいのかな。

「なぜだ!リリー!なぜなのだ!」
 お父様が驚愕の声を出した。
 翌日、お父様にもドレスを新調したいと話をした。
 仕立屋を呼んで、まずはデザインの相談から。
 お母様がいないので、本来はあまり男性の家族がデザインを決めるのに立ち会うことはない。けれど、子供が一人で仕立屋とやりとりをするのは大変だろうと亡くなったお母様の代わりにお父様が付き合ってくださっている。
 まずはドレスの色を決めようと、色見本を見せてもらう。
 小さな布の中から、オレンジ色の布をいくつか手に取ったところで、先ほどの父の叫び声が上がったのだ。
「なぜ、オレンジを選ぶんだい?リリー、まさか、まさか、他のご令嬢のように、皇太子殿下の気を引きたくて、オレンジを……」
 ぱくぱくと言葉が続かないお父様。

 あら、オレンジ色は皇太子殿下の気を引くため?
 やっぱりだったんだ。単に流行しているだけの可能性もあったけれど。あまり女性の流行に敏感ではないお父様でも知っているくらいの常識なんですね。オレンジ色イコール殿下狙いみたいなのが。
「お父様、落ち着いてください。私は誰だかお忘れですか?」