稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

「ふふ、分かってますわ。婚約者のエカテリーゼ様は寂しがり屋なんでしょう?」
 寂しいの。が口癖のご令嬢だと聞いたことがある。
「あ、ああ、そうなんだ。僕がそばにいないと寂しがって、その」
 他の殿方に、婚約者が相手にしてくださらなくて寂しいんですと、涙ながらに訴えるらしい。
 なんというか、男性アレルギーの私からすると、信じられないんですけど。側にずっと誰かいてほしいなんて、考えたこともないので。
 家族でさえ、不用意に触れればアレルギーが出てしまうんですもの。
 よかった。私は寂しがり屋じゃなくて。
 そう、この舞踏会、出会い目的のお見合いのようなものなのに、婚約者のいる者も参加しているのは、それぞれが仲を取り持ったり紹介したりするため。いきなり自分からアプローチできない人も多いので、婚約者のいる方にお世話を頼むのだ。

「今日は、急にお兄様を舞踏会に来るためのエスコートにお借りしてしまったのですから。エカテリーゼ様には申し訳ないことをしてしまったと思っているの」
 お兄様の手が私の頭にのびたけれど手のひらが私の頭に降ろされることはなく、指先で髪の毛にふれた。
「リリーが謝ることないよ。兄妹は助け合う物だろう?それにエカテリーゼも私と結婚すればお前の姉になるんだから」
 そこまでいって、お兄様がちょいとおどけた様子でウインクをした。
「まぁ、埋め合わせにと、新しいドレスをねだられたけどね」
「あ、そうだわ!私も新しいドレスを次の舞踏会までに仕立てたいの!」
 忘れないうちにお兄様にねだっておく。もちろん、お父様にもちゃんとお願いするけれど。お兄様が味方になってくださったほうが話が早い。
「次の舞踏会?こんなに手を真っ赤にしてまで、まだ頑張るのかい?無理しなくていいんだよ?」
 お兄様が驚いた顔を見せる。