稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

 ローレル様の後ろから、姉妹に見える二人のうちの一人が顔を出した。
 殿下と、公爵家くらいしか?
 ということは、ローレル様は侯爵家の?あれ?でも皇太子と歳が釣り合うようなご令嬢いらっしゃったかしら?
 あと、考えられるのは、辺境伯のご令嬢?
 あとでお父様に教えていただきましょう。
 それにしても……。
 ローレル様は素敵だ。
 私は、ローレル様から立場の弱い令嬢は酷い目にあうかもしれないと言われて、憤慨はした。
 けれど「私の名前を出しなさい」など助言をすることなど全く思いつかなかった。
 ……具体的に、ローレル様は困っている人を助けようと動いてくださっている。
 なんて、素敵な人だろう。
 お兄様の婚約者がローレル様のような方ならよかったのに……。
 あ、いえ。別に、お兄様の婚約者のエカテリーゼ様に不満があるわけでは……。
「では、私たちは殿下を探さないといけませんので失礼いたしますわ」
 ローレル様があづまやから迷路に入って戻っていった。
 3人が立ち去るのを見て、あづまやのベンチに腰掛ける。
 視線を落として、ドレスのフリルをつまみ上げる。
「変な人に絡まれるのは、ドレスのせいか……。悪目立ち……」
 エミリーに、かわいいドレスをもっと見せてあげたいと思ったけれど、悪目立ちは私の望むところではない。
 ただでさえ男性アレルギーがあるのに、良からぬ男を引きつけてしまったのでは、アレルギーがあまり強く出ない男性を探すどころか、男性嫌いになってアレルギー自体が酷くなってしまうかもしれない。
「ピンクは……やめて、オレンジのドレスを作ってもらいましょうか」
 木を隠すには森の中というものね。オレンジ色ならそんなに目立たなくなるでしょう。フリルは、上半身の視線がむきやすい場所は控えめにして、下に行くにしたがってふんわり可愛らしくしてもらおうかしら。